
SX-70 / 600film+NDfilter
夕方の帰り道、なぜかとてもイライラしていた。
家の近くの神社の脇でふと空を見上げると、それはとてもクリアで
その空の色を見ているとイライラなんてキレイに消えて、
気持ちが新しく生まれ変わるのが分かった。
そしてこの空と、この気持ちを残しておきたいと思った---
絵の具の水色で塗りつぶしたような、透き通るアクアブルー。
空高く浮かぶ白い雲と、低い空でふわふわしてる薄いグレーの雲。
うしろの空を振り返ると、そこはオレンジで染まろうとしていた。
私は夢中でレンズを空に向けた。
ただただ無心でシャッターを切り続けた。
同じような空を何枚も何枚もただ撮り続けて、
残りのフィルムを全部、空に費やしていた。
ふと我に返ると、私はなぜか涙を流していた。
撮りながら泣いていたんだ---
こんなことは、初めてだった。
そのままの状態では家に帰れなくて、神社の境内でまた少し泣いた。
哀しい涙でも、寂しい涙でも、悔しい涙でもなく
それは嬉しい涙でも、感動の涙でもなかった。
カメラは私の心を裸にしてくれる---
それからカメラにモノクロフィルムを詰めた。
今のこの瞬間の私には、色のない世界しか見れない気がした。
神社の境内を撮る。
カシャン、カシャン。
少し重いシャッター音が心地いい。
カシャン、カシャン。
心に染み渡る。
カシャン、カシャン。
シャッターをひとつ切るたびに心に落ち着きが戻る…。
カシャン、カシャン。
今も私の心に響き渡るシャッターの音。